Scenting Design Academyという香りについて学ぶ学校が主催する、マンスリーセミナーに参加してきた。
毎月テーマを変えて、誰でも参加可能なセミナーが開催されている。
11月のテーマは「香り × ブランディング」。
もともと学生の頃から香りに興味があるし、仕事で商品企画に携わっている私としては
参加しない選択肢はなかった。
セミナー前半ではブランディングについて学び、後半では自分をブランドと捉え、それを香りで表現するというワークショップ形式の内容で、楽しみだったし、実際、楽しいでしかなかった。
楽しかったのはもちろんなのだが、自分をブランドに見立てて香りに落とし込む作業の中で
新たな発見があったので記録しておきたい。
「香り」でブランディング
ブランドは、「歴史・役割・未来」をしっかり持っており、その一つ一つが組み合わさり、ブランド独自のストーリーとなる。
それによりブランドの存在意義を知ることができる。
一方、ブランディングとはブランドを伝えるアクションのことであり、
数ある表現の一つとして、「香り」という手段を使ってみよう。というのが今回の主旨。
香りに落とし込むにあたって、「歴史・役割・未来」から、それぞれどのようなキーワードが抽出できるかを考える。
そして、そのキーワードを想起させるような香りを7つの香りのグループから選ぶ。
1つのグループにはさらに何種類かの香りが用意されているので、最も適した香りを選ぶ。
選び抜いた香りを自分でブレンドして、ブランドを象徴する香りを作成する。
引用;https://sda.scenting-design-academy.org/%e3%80%90%e9%96%8b%e5%82%ac%e3%80%912024%e5%b9%b411%e6%9c%88%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%97%e3%83%b3%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%b9%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc/
この作業をやっていくのだが、自分自身をしっかり理解していないと難しいぞ、と思った。
自分の歴史なんぞ、28年しか生きていないし何も成し遂げていないし、、とは思ったものの、
どんな子供だったか、どんなことを考えて日々過ごしていたかという点から香りづくりを進めていった。
「私」というブランドと、その香り
そして書き上げた、私というブランドのイメージはこれ。
その時の情景だったり、言葉が持つ印象だったり、色に例えるとイメージが湧きやすいので
香りのグループに区分けするのは割とすんなりできた。
・飽き性で色々なものに手をだす
→色んな色が混ざってカラフル
→Gourmand のグループ
・目立つのが苦手なのに、指揮者や生徒会に選ばれがち。それにちょっぴり反抗
→攻撃的な部分も?
→Spicy のグループ
・目立つよりも人と人の間に立つ緩衝材のようなポジション
→空間・透明のイメージ
→Aromatic のグループ
・平和的で場を和ませるほう
→温かみのあるオレンジ
→Citrus のグループ
・自然に目を向けて、感性が豊かになる人が増えたらいいな
→①緑、森のイメージ
→Wood のグループ
→②日本的ならではの感性、畳のような温かいベージュのイメージ
→Balsam のグループ
・お世話になったの先輩のような聡明な女性になりたい
→先輩の雰囲気
→Floral のグループ
ここから、グループごとに分けられた香りを一つずつ試し、一番イメージに近い香りをピックアップしていく。
最後に選んだ香りの原液を、合計10滴になるように配合していくのだが、
香りの黄金バランスのような知識はゼロなので
選んだ香り7種類を、自分を表す要素順に合計が10になる比率に分けて単純に混ぜ合わせた。
悩み出したらキリがないので、勢いで。
そして出来上がった「私の香り」。
色々混ぜたから当然なのだが、とても複雑な香りだった。
不思議と自分の好みでよく買いがちな香水の雰囲気で驚いた。
FUEGIAのような、そんな奥行きのある香り。
他の参加者とも香りを試しあったのだが、初対面にも関わらず、あなたの雰囲気にあった香りだねと言ってもらえて
自分の好きな香りと自分を表す香りが同じ系統なのも、なんだか嬉しかった。
人との関わりの中で見つける「自分」
ワークショップが終わって、こんなに簡単にできてしまうものだろうか?と、ふと不安になった。
私というブランドの考え方が間違っていたのかな?
気になった私は、今回の講師であるブランディング会社「Landor」の大島由久氏に尋ねてみた。
質問せずに、香りを作って満足して帰ってもよかったのだが、結果、質問してよかったと心から思った。
-「私の歴史・役割・未来をこのように考え香りと結びつけたのだが、このやり方でよかったのか」
ほとんど色に結びつけて考えてしまっていたので、私の偏った勝手なイメージになっていないか心配だった。
-「色から連想して香りを導き出した人は、今回あなただけ。それはあなたの立派な個性」
講師の大島さんはそのように言ってくれた。
色から考えることで想像の幅が狭まってしまうのではないかと、
よくないイメージで思っていた「思考のクセ」を、
「自分の個性」と素敵な表現で書き換えてくれた。
そして、これは当たり前の感覚だと思っていた私に、当たり前ではないと教えてもらったことで、自分の個性だと認識すると同時に一つの武器になったような気がした。
『記憶やイメージを色に例えて思考をめぐらせる』
これが私の個性。
何者でもないと思っていた私にも、そんな部分が備わっていることが嬉しかったし、
新たな気づきや発見は、やっぱり人と関わるなかで生まれるんだよなと思った。
誰かと話すってすごく大切だ。